バイ・ビーポー
バイ・ビーポー
デヨゲフォゲ~
Afrika Bambaataa(アフリカ・バンバータ) & Soulsonic Force の「Planet Rock」は、僕の耳にはこんな風に聴こえるボーカルから始まります。
なお、この部分はのちに購入したオムニバスCDに入っていた歌詞の記載では、
Body people
Body people
They gonna get funky
と、なっています。
もっとも、そのあとには「.......」と、聴き取れなかったと思われる記述もあるくらいなので、正確なものかは分かりません。
それにしても、なぜ「Africa」ではなく「Afrika」なのか。
「A」がたくさん並んでいる奇妙な名前には意味があるのか。(のちに調べたところ、アフリカのズールー族の首長の名前に倣ったものということです)
「魂の音波軍団」(Soulsonic Force)、「惑星ロック」(Planet Rock)…
「MUSIC BY PLANET PATROL」「POST-ROCK MANIFESTO」…
疑問とともに、何やらいかがわしさすら漂うジャケットだなと、当時は思ったものです。
A面「Planet Rock」は、上記のようなボーカルから始まり、打ち込みのドラムとパーカッションがそれに続きます。
オーケストラ・ヒット(サンプリングされたオーケストラの音を短く鳴らす手法)が加わり、ラップが始まります。
やがて、メインのメロディーが入ってきます。
ただしこのメロディー、発売当時から、テクノの元祖 Kraftwerk(クラフト・ワーク)による1977年のアルバム・タイトル曲「ヨーロッパ特急」のパクリと言われていて、実際、訴訟沙汰になりかけたとのこと。
あとで僕も「ヨーロッパ特急」を聴いてみましたが、メロディーやシンセの音色は、たしかにそう言われてもやむをえないほど似ていました。
しかも、「Planet Rock」は、リズム・パターンも同じクラフト・ワークの「ナンバーズ」をパクっています。
すごいことになっていますが、ともあれ、「ヨーロッパ特急」や「ナンバーズ」よりも、「Planet Rock」の方が、僕にははるかにノれる感じがします。
ほかに、この曲には「夕陽のガンマン」のテーマ曲のメロディーも挿入されています。
レコードを出す前のライブでは、おそらく Afrika Bambaataa は、「ヨーロッパ特急」と「夕陽のガンマン」のレコードをそのまま回しながらラップしていたのではないかと想像されます。
ちなみに、ラップの内容は、上記CDの歌詞によれば、
「男も女も、俺たちのビートで踊ろうぜ!」
と、いったポジティブでパワフルなものです。
のちのラップに現れるような「俺様」感や、過剰なまでの韻の繰返し、攻撃的な風刺といったものはなく、リラックスして楽しめるのが特徴です。
B面は、A面と同じ「Planet Rock」の、ラップとボーカルを抜いたインストルメンタルです。
単なるカラオケではなく曲として完成しています。A面より1分半ほど長く、独自の編集がほどこされています。
リズム・トラックは、Arther Baker によるものです。この作品のヒット以降、彼のサウンドはヒップホップの主流となり、「アーサー・ベイカー風」という言葉も生み出しています。
なお、Afrika Bambaataa と Arther Baker のコンビは、その後も、
「Looling for the Perfect Beat」
「Renegades of Funk」
「Frantic Situation」
と、12inchシングルのフォーマットで傑作を連発していきます。
さらに、Afrika Bambaataa は、「ヒップホップ(hip hop)」という言葉自体をつくった人であるとの説もあります。
ただし現在、音楽史的には、ヒップホップというよりも「エレクトロ・ファンクの開祖」との評価がされているようです。
AFRIKA BAMBAATAA & SOULSONIC FORCE / PLANET ROCK(1982年)
A:PLANET ROCK ―VOCAL― ~ BONUS BEATSⅠ
B:PLANET ROCK ―INSTRUMENTAL―
当作品は、12inchシングル・レコードとして発売されたものです。現在は入手困難ですが、1987年の「PLANET ROCK・THE ALBUM」に、A面(ボーカルバージョン)がすべて収録されています。さらに、本文で紹介した「Looling for the Perfect Beat」「Renegades of Funk」「Frantic Situation」3曲も収録されています。CDとレコードが出ていて、比較的入手しやすいはずです。
なお、2001年のアルバム「LOOKING FOR THE PERFECT BEAT 1980-1985」にも「PLANET ROCK」と上記3曲が収録されていますが、こちらでは「PLANET ROCK」は最後の1分ほどがカットされています。