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3月, 2020の投稿を表示しています

Eric Dolphy / Out to Lunch ~一番長く聴き続けているジャズアルバム

1980年代、僕が20代の初めの頃です。洋楽好きの兄や、友人たちが、次々とジャズを聴き始めました。 それまでは、ロックやソウル、クロスオーバー(フュージョン)など、エレクトリック音楽を聴いていた人たちです。 それが、アコースティックなジャズに転向していったのです。50~60年代の、4人から6人程度のコンボ(小編成)による作品です。 当時、僕のまわりでは、ジャズは、芸術的な大人の音楽といったイメージを帯びていました。 ポップ寄りのソウルや、フュージョン、YMOなどを聴いていた僕も、何となくジャズを聴かなければいけないような雰囲気になってきました。 とはいえ、すでに兄などが聴き始めている、John Coltrane や Thelonious Monk を後追いするのも、癪にさわりました。 どうせならば、彼らの聴いていないような、自慢できる作品をと思い、探してみました。 その結果、手にしたのが、Eric Dolphy の「Out to Lunch」でした。1964年の作品です。 1曲目「Hat and Beard」は、各楽器が一音、一斉に鳴り、続いて変ったテーマ・メロディーが始まる幕開けです。リズムは9拍子です。 音階は、何長調、何短調といった調性を感じさせない、ダークな印象です。 リーダーの Eric Dolphy が吹くバス・クラリネットの低音が、それを加速させていきます。 テーマが終わると、Eric のソロがはじまります。無調で、「馬のいななきのような」と、揶揄されたノイズ的な音を交えながら、高音から低音まで、自由なリズムが激しくのたうち回ります。 ドラムの Tony Williams も、一定のリズムではなく、自由で強烈なパルスを打ち出します。いかにも「フリージャズ」といった印象です。 それでもとりあえず、5人のメンバー全員がギリギリのところでテーマのリズムをキープしているかのような作品です。 2曲目「Something Sweet, Something Tender」は Eric のバス・クラリネットと、Richard Davis のウッド・ベースの弓弾きで始まります。ダークでゆったりとしたリズムの曲です。 この曲では、Eric のソロは自由に動き回るものの、定まったリズムがキープされています。

Dollar Brand(Abdullah Ibrahim)/ African Piano ~聴き過ぎてジャケットは霜降り状態

Dollar Brand(Abdullah Ibrahim)の「African Piano」は、ピアノ演奏のみによる作品です。 コペンハーゲンの「Jazz-hus Montmatre」でのライブを録音したものです。さほど広くないライブハウスのようです。冒頭、人々のざわめきなども聞こえてきます。 1曲目「Bra Joe from Kilimanjaro」は、明るくはっきりとしたメロディーの曲です。タッチが強く、激しく鍵盤を叩きつけるようなところは、フリー・ジャズのようです。 最初は、左手が、ベース・ラインのような一定のラインを弾きはじめます。5拍子です。いわゆる変拍子ですが、とてもリズミカルに体を揺らされる感じがします。 そこに、右手によるメロディーが重なります。 あるときは左手のリズムに乗り、また、あるところでは関係なく、自由自在、即興的に曲が流れていきます。 次いで、演奏が途切れることなく、2曲目「Selby That The Eternal Spirit is The Only Reality」が始まります。ここで左手のパターンが変わります。3曲目「The Moon」につながります。 「The Moon」のあとは、つなぎ的な短い曲「Xaba」がフェード・アウトして、A面は終了です。B面は、1曲目「Sunset in Blue」のフェード・インから始まります。 以上の2曲目から5曲目(B面1曲目)までは、曲ごとにひとつのリズム・パターンに乗るかたちです。左手は、単音のベース・ラインや、和音による一定のパターンを躍動的に打ち出し続けます。 さらに、右手も、決まったメロディー・パターンを繰り返す展開となります。若干変化をつけながらではあるものの、1曲目で見られた即興的なラインは、ここでは影をひそめます。 音がよく反響し、聴いていると高揚してきます。外出中でも、イヤホンの音に乗せられ、ついメロディーを口ずさんでしまいます。 「Sunset in Blue」の最後では、テンポが少しずつ遅くなっていきます。 続く6曲目(B面2曲目)「Kippy」は、ゆったりとしたリズムに乗る曲です。タッチの強さこそ変わらないものの、メロディーはリリカルで、同じフレーズを弾くことがない展開です。 7曲目(B面3曲目)「Jabulan