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9月, 2022の投稿を表示しています

Blood, Sweat & Tears / Blood, Sweat & Tears ~エリック・サティに意表を突かれる

1968年に発売された古いアルバムです。ブラス・ロック、ジャズ・ロックを代表するグループ、Blood, Sweat & Tears(ブラッド・スウェット&ティアーズ)の2ndアルバム「Blood, Sweat & Tears」です。僕がこれを最初に聴いたのは、かなり遅れて'87~'88年頃のことでした。 ただし、それまでの2~3年間、僕はFMラジオから録音したこのアルバムの中の何曲かを繰り返し聴いてはいました。そのうち「Smiling Phases」に、僕は強く惹かれていました。 この曲は、ブラスとオルガンの華やかな前奏で始まります。David Clayton-Thomas(ディヴィッド・クレイトン・トーマス)のボーカルがこれに続きます。ブラスの迫力に負けないくらい、パワフルでノリのよいボーカルです。 歌の2コーラス目の背後では、ブラス同士でのコール・アンド・レスポンス(掛け合い)が演じられます。この部分に僕はとりわけ興奮させられました。 Bobby Colomby(ボビー・コロンビー)のドラムスも、細かく軽快にリズムを刻みます。ロックというよりも、ソウルあるいはリズム&ブルースといった方がいいような、しなやかなビートの作品です。 さらに、Dick Halligan(ディック・ハリガン)の即興的なソロ・ピアノのパートも加わります。リズム・パターンが次々と切り替わっていくところがとてもスリリングです。 なお、録音した曲はこのほか3つでした。どの曲も素晴しく、これらを聴いているだけで「もう満足」といった感じでした。そのため、なかなかアルバム自体の購入には至りませんでした。 しかし、いよいよ買ってみると(CDです)、冒頭から意表を突かれました。1曲目は、1888年に Erik Satie(エリック・サティ)が作曲したクラシックのピアノ独奏曲「Gymnopédies」(ジムノペディ)のリメイクです。 極端に音数が少なく、スローで静かな曲調のため「環境音楽のはしり」とも評されるこの作品です。それを前半はアコースティック・ギターとフルート、後半は荘重なブラスとドラムスでの演奏に変えています。 そして、2曲目がさきほど触れた「Smiling Phases」です。 続く3曲目「Sometimes in Winter」は、一転してしっとりとした長調のバ

Airto Moreira / Free ~約40年遅れで感動

パーカッショニスト Airto Moreira(アイアート・モレイラ)の3rdアルバム「Free」は、1972年にリリースされた古い作品です。僕は約40年遅れて、2010年頃にCDで購入しています。「Airto が参加した、他のアーティストが主導するセッションを集めたオムニバス」と、いった趣きの作品です。 1曲目「Return to Forever」が、まさにその典型です。ノン・ビートの静かなパートと、軽快なスキャットとともにリズムが躍動するパートが交互に繰り返される、ラテン・フレーバーの名曲です。 この曲は「Free」以前に、作曲者 Chick Corea(チック・コリア)自身による、その名も「Return to Forever」というアルバムで録音されています。これに Airto も参加しています。「Free」でのバージョンは、このセッションと曲想やアレンジだけでなくメンバーまでほとんど一緒です。Chick もエレクトリックピアノで参加しています。 両方の違いといえば、「Free」の方では終盤にブラス・パートが入ることなどでしょうか。ブラスのアレンジは Airto によるものではありません。また、彼のパーカッションも叩き過ぎず、存在は控え目です。そのうえで、Chick のアルバムでのセッションとは異なるトライバルなテイストが感じられる作品です。 Airto のこのような演奏スタイルは、Miles Davis(マイルス・デイヴィス)のライブアルバム「Live-Evil」でも観察できます。このセッション(同じ晩に収録のライブ4曲・86分)のドラマーは Jack Dejohnette(ジャック・ディジョネット)ですが、彼はとても手数が多く、空間を埋め尽くすタイプです。ですが、そのような相手であっても Airto は巧みに隙間を見つけては音を流し込みます。乱暴に叩き込むわけでなく、あくまで最小限のワザでサウンド全体を彩っています。 なお、このセッションには Keith Jarrett(キース・ジャレット)もエレピとオルガンで参加しています。Airto との絡みも印象的ですが、その Keith がピアノで加わっているのが「Free」の2曲目「Flora’s Song」(作曲:Flora Purim)です。 この曲は、壮大なブラスが入るのとともに、テンポもゆったりとしたスケ