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11月, 2019の投稿を表示しています

George Duke / A Brazilian Love Affair ~まるっと楽しい、おススメのアルバム

「セールスなど気にせず、好きで作った作品」 「個人的にも気に入っている作品」 George Duke 自身が、このアルバムのことをそう語っているそうです。 1曲目のタイトルは「Brazilian Love Affair」です。訳すと「ブラジルの情事」でしょうか。なお、アルバム名の方には「a」が付いていて、「A Brazilian Love Affair」となっています。イントロがとてもカッコよく、買った当初はこればかり何度も聴いていた曲です。 幕開けは、軽快なサンバのリズムを奏でるパーカッションです。鳥の声を真似たシンセサイザーが直後にこれを追いかけます。跳ね上がるようなチョッパー・ベース、リズム・ギター、ドラムもそこに加わり、ファンキーな展開を見せていきます。ハスキーなファルセット・ヴォイスによるヴォーカルが、続いてそこに乗ってきます。 2曲目「Summer Breezin’」は、ボサノバ風のギターから始まります。ブラスも加わったアコースティックな展開のサウンドです。シンセの音色は、ビブラホーンやギターなど、生楽器を連想させるものになっています。この曲にもファルセットのヴォーカルが入ります。 なお、これらのヴォーカル、George Duke 自身によるものです。僕はそのことに初め気づいていませんでした。LPでこのアルバムを聴き、数年後にCDを買い、クレジットを見て知りました。驚きました。 George Duke は、人懐っこそうな笑顔で、とても楽しそうに演奏するピアニストです。このアルバムを聴く以前、僕はこの人についてはTVに映った姿しか知りませんでした。'81年の Live Under The Sky(屋外ライブ・田園コロシアム)での映像です。 George Duke は、この時、テナー・サックスの巨人 Sonny Rollins のバックでアコースティック・ピアノを弾いていました。曲は純然たるジャズでした。突き刺さすような角度で鍵盤を叩きながら、音数こそ少ないながら、よくスウィングするフレーズを奏でていました。 このときの印象から、僕には彼がヴォーカルをこなすイメージはありませんでした。ましてやファルセットなど…。 3曲目は「Cravo E Canela」です。Milton Nascimento の作曲で、彼

PIZZICATO FIVE / BOSSA NOVA 2001 ~第二印象抜群!

1993年のある日のこと。CDショップの店内を歩いていると、1枚のアルバムのジャケットが、不意に目に飛び込んできました。 「BOSSA NOVA 2001」です。 PIZZICATO FIVE(ピチカート・ファイヴ~'87までは「PIZZICATO V」)の作品です。 当時、化粧品メーカーの夏のイメージ・ソングに、彼らの曲が採用されていました。 思わず興味が湧き、レジに持ち込んでみました。 1曲目、タイトルは「ロックン・ロール」です。現代(当時)版ボサ・ノヴァという感じの曲です。 ラジオから流れてきそうな男声の英語アナウンスと、ファンファーレのサンプリングに続いて、曲が始まります。明るく軽快なメロディに、恋人と暮らしていたアパートを飛び出していく女性を唄った歌詞が乗せられています。 ちなみに、アルバムタイトルの「BOSSA NOVA 2001」は、この曲に付いていた方が、僕としてはフィットする感じです。 2曲目「スウィート・ソウル・レヴュー」が、'93カネボウ化粧品夏のイメージ・ソングだった曲です。先にシングルで発売されていますが、このアルバムにはオープニングとエンディングがやや異なるものが収録されています。 続く3曲目、「マジック・カーペット・ライド」では、タンバリンとインド楽器風のエスニックなサウンドの上に、ゆったりしたメロディが乗っています。後半、プログレ風のストリングス・サウンドが加わります。幻想的な1曲です。 4曲目「我が名はグルーヴィー」と、5曲目「ソフィスティケイテッド・キャッチー」の2曲は、ノンストップでつながっています。快速&Groovy な、クラブ系のサウンドです。購入当初、僕は何度も続けてこの2曲ばかりを聴いていました。 8曲目の「スリーパー」では、Sly & The Familiy Stone のサウンドのような音が、サンプリングされています。60年代後半〜70年代に活躍したファンク・ロックバンドです。これをバックに、Sly~とはイメージの異なる軽快なメロディーが流れる構成となっています。 さらに、11曲目「ゴー・ゴー・ダンサー」にも、James Brown のヴォーカルを変調させたと思われる音や、Quincy Jones の曲から拾ったブラスの音が入っています。

SAMUL-NORI / DRUMS AND VOICES OF KOREA ~思い出のお寺でのライブ

サムルノリが来日することを知ったのは、1984年の10月初め、一般雑誌の記事からでした。近く、芝の増上寺で公演を行うというのです。 それ以外の情報で得られたのは、彼らが韓国の伝統的農楽に使う4種類の楽器を駆使する4人グループで、欧米で絶賛されていること、坂本龍一も強い関心を持っていることくらいです。 前年の1983年以来、ナイジェリアの King Sunny Adé( Synchro System の記事参照 )の音楽や、Fela Kuti、インド系イギリス人 Sheila Chandra のヴォーカル( Third Eye の記事参照 )に魅了されていました。 1984年の夏の Live Under the Sky では、Herbie Hancock のバンドに、西アフリカ・ガンビアの伝統楽器奏者の Foday Musa Suso が参加、さらにジャマイカのレゲエ・グループ Black Uhuru が出演しています。 このように「世界は素晴らしい音楽で満ちている」というワクワク感があった時期、お隣の国の「ワールド・ミュージック」を聴かないという手はなく、基礎知識もほとんどないままにサムルノリのライブを聴きに行くことにしました。(以下のサムルノリに関する知識や用語は、のちに雑誌やCDの解説書で得たものです) 公演は1984年10月の晩、野外で行われました。 増上寺の本堂と東京タワーを背景に、ステージがしつらえられています。香が焚かれ、虫の音が聴こえる中、伝統的な衣装を身にまとった四人の男たちが静かに現れ、あぐらをかいて楽器を構えます。 アレッ? 4種類と聞いていたのに、皆同じ楽器です。日本の鼓を大きくしたような形で、腹の前で抱え、細いバチで鋭く叩きます。 このチャンゴ(枝鼓)という楽器が4台、同じリズムを叩いたり、それぞれ別のリズムを打ち出しながら、連続して曲を演奏していきます。強くて、鋭く、張りつめた音が耳に突き刺さります。 このあとのパートで、4種類の楽器が出揃います。 チャンゴのほかに、プク(鼓)という、スネア・ドラムくらいの大きさの両面を叩くタイコがあります。固く重たい低音です。 他の2つは金属の楽器です。ひとつはチン(鉦)という、スキヤキ鍋のような形、大きさのドラです。木の枠からヒモで吊るし、先を糸でぐる