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3月, 2022の投稿を表示しています

DEFUNKT / THERMONUCLEAR SWEAT ~聴き倒すほど聴いた衝撃のLP

「THERMONUCLEAR SWEAT」は、僕が初めて聴いたファンクのアルバムです。衝撃的な作品でした。Defunkt(デファンクト)による'82年リリースの2ndアルバムです(日本盤は'83年に発売)。 きっかけは当時の音楽雑誌の記事でした。「フリージャズ系のミュージシャンがファンクやソウルなどに続々転向しはじめている」と、書かれた中で、Jamaaladeen Tacuma らとともに、Defunkt のリーダー・Joseph Bowie(ジョセフ・ボウイまたはジョー・ボウイ)が紹介されていたのです。 僕は、このうち Jamaaladeen Tacuma のアルバム を聴いてとても気に入っていました。次に、一緒に採り上げられている Defunkt とはどんなグループなのかと思い、「THERMONUCLEAR SWEAT」を手にしたのです。買ったのはLPでした。'84年のことです。なお、その後もいまに至るまでこのアルバムはCD化されていません。 1曲目は「Illusion」です。イントロでは、複雑なパターンのリズミカルなドラムと、クールなカッティング・ギターが前面に出てきます。ギターは2名での演奏です。三管のブラスによる前奏に続いてボーカルが入ります。 ボーカルは、メロディーはあるものの音程が曖昧で、かつ、こちらに投げつけてくるような印象です。「ラップのような唄」といったところでしょうか。のちのちよく耳にすることになる唱法なのですが、当時の僕にとってはまさに新鮮でした。 間奏はトロンボーンのソロです。こちらもラップ的な印象です。細切れで力強く跳ね、調性も希薄です。 なお、これらメインのボーカルとトロンボーンは、リーダーの Joseph Bowie によるものです。フリージャズ出身だけあってソロも個性的で自由です。さらにその後は、唄とブラスのリフと、ギターやトランペットによるパンキッシュに歪んだソロが、交互に展開するかたちです。 この冒頭の1曲から、僕は完全にノックアウトされてしまいました。ところが、まだまだそれはほんの序の口でした。 4曲目「Ooh Baby」。16ビートのパターンが延々と繰り返される中で、吠えるのはクレイジーなギター・ソロです。唸り続けるベース、幾度も差し込まれる「Ooh、Baby」の短いコーラス、曲の終わりのノイズ的な音

DAVID SANBORN / BACKSTREET ~サンボーンの至高のサックスを堪能

「泣きのサックス」とも形容される特徴的なサウンド―――。 僕が初めて David Sanborn(デイヴィッド・サンボーン)を聴いたのは1983年のことでした。同年の彼のソロアルバム「Backstreet(バックストリート)」の中から数曲がFMラジオでオンエアされたのです。その際に録音したテープを大事に聴き続け、遅れてアルバムを買ったのは'87年か'88年の頃でした。 1曲目は「I Told U So」です。ミドルテンポのメロディが抒情的に展開する曲です。チョッパー・ベースは抑え気味、終盤のギターソロも「つま弾く」といった風で、サウンド全体が落ち着いた雰囲気になっています。そのためか、実際のテンポよりもゆっくりとした印象を受ける作品です。 サビの部分では Sanborn のしゃくり上げるようなサックスが堪能できます。打ち込みのドラムはチープに音を奏でますが、あえてそうしたのだと思います。Sanborn の人間くさいサウンドに不思議とフィットしています。 2曲目は「When You Smile at Me」です。スローなバラードです。Sanborn の歌い上げるようなソロがぴったりとハマるメロディーになっています。 3曲目「Believer」は、一転してファンキーな、アップ・テンポな曲です。合いの手のように入る男声ボーカルも相まって、アルバム中唯一の派手な作品といっていいでしょう。Sanborn のサックスも、まるでソウルシンガーがシャウトするようです。 5曲目「A Tear for Crystal」は、さきほどの2曲目(When You Smile at Me)よりもさらに重厚感の増したバラードです。Sanborn のサックスが、このアルバムの中ではもっとも「泣いている」曲といえるでしょう。 7曲目「Blue Beach」は、ゆったりとしたレゲエです。メロウながらも軽快で、元気づけられるようなメロディーとなっています。 ところで、Sanborn のサックスはとにかく特徴的です。基本的には鋭く金属的な響きなのですが、冷たい感じはありません。音が絶妙な具合に割れているためか、人の声のような温かみを感じます。 重ねられていないにもかかわらず、音がハーモニーを奏でるようにも聞こえます。これも「割れ」の効果でしょう。そこに、エモーショナルなフレージングも加わっ