トレイにCDを置きPLAYボタンを押した次の瞬間、いきなりヒズんだバシャバシャというドラムの音。「椅子からころげおちそうになった」という表現がおおげさでないくらい、驚きました。
2曲目は一転してクリアな音で、金属的な高音がキンキン耳に突き刺さる。
3曲目はまたくぐもったような音。
4曲目のバラードから、
5曲目はSAXと唄が延々同じメロディを繰り返す展開。
6曲目、また激しいドラム―――すさまじいバスドラの連打。
7曲目は映画かドラマのサントラのようなインスト。
ここまでが前半=LPではA面。
B面は豪華に始まって、涙が出てきそうな弾き語りで締め。ジャケットのイメージとは裏はらに、ケレン味あふれる極彩色の曲の数々です。
PRINCE & The Revolution / PARADE
A1:Christopher Tracy's Parade
A2:New Position
A3:I Wonder U
A4:Under The Cherry Moon
A5:Girls & Boys
A6:Life Can Be So Nice
A7:Venus De Milo
B1:Mountains
B2:Do U Lie?
B3:Kiss
B4:Anotherloverholenyohead
B5:Sometimes It Snows In April
このアルバム以降、僕にとってPRICEは神の如き存在に。でも、それまでには紆余曲折がありました。
1984年頃までは、PRINCEは「食わず嫌い」でした。当時のパブリックイメージ―――ジャケットにビキニ・パンツで登場するとか、ステージで○○を投げてるとか、の影響です。
でも、その割には音楽誌でもマトモに解説されているし、Mick Jagger やホール&オーツの Daryl Hall が絶賛しているみたいな話があって、気になる存在ではあるものの、その頃は Stevie Wonder や Herbie Hancock の方に関心が行っていました。
ナンカ、スゴイゾと思ったのは確か1985年の初め頃、小林克也さんの「Best Hit USA」の中で「I Would Die 4 U ~ Baby I'm a Star」のメドレーのライブ映像を見た時。(これ、本当にいいです。You Tube 上では不連続でUPされていますが)
I Would Die 4 U
Baby I'm a Star
それまで「Let's Go Crazy」のMVを見たくらいだったけど、この映像には最初から圧倒されました。あわてて録画したため頭の部分が欠けてしまいましたが、画質がボロボロになるまで見たものです。
これを機に、「次にPRINCEのアルバムが出たら、絶対買うぞ」と決心したのです。(当時僕は天邪鬼だったので、大ヒット中の「Purple Rain」を買いに走るのではなく、次のを買おうと思った)
そしていよいよ1985年4月、「Around The World In A Day」を買い、針と落としてみましたが(当時はレコードでした)、解りやすいのは「Raspberry Beret」くらいで、あとはピンとこない。
「本当は大傑作なんだろう」と、心のどこかで思いつつ、解らない。
この時期、就職したばかりで心身ともにまったく余裕がないところに、ますますストレスを溜めてしまったようです。
だいぶ後になって、このアルバムの凄さはわかるようになったのですが、当時は、PRINCEから離れかけた感じになっていました。
なので、翌年お店で「PARADE」を見かけた時もあまり期待せず、「まあ、買ってみるか」という程度でした。それが冒頭のような衝撃だったのです。
僕にとって、三度目のPRINCEとの出会い=三度目の正直、ということになるでしょうか?
何回も何回も続けて聞きました。その後「Purple Rain」のCDを買い、「Kiss」のシングルCD(Long Version)を買い、「Around The World」を聴き直し…以降はご推察ください。
音楽に限ったことではありませんが、1度や2度接してわからなくとも、否定してしまうものではない。そう実感させられた貴重な経験でした。