スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

10月, 2019の投稿を表示しています

THE JAMES BROWN STORY / Ain't That a Groove 1966-1969 ~これがマイ・ベストJBです

Miles Davis の「In A Silent Way( 記事はこちら )」以降の作品を聴きはじめた頃から、James Brown(ジェームス・ブラウン、以下 JB)を聴いてみようと思っていました。 この時期の Miles が、JB の音楽から大きな影響を受けていることを知ったためです。ライブが始まる前のバンド・メンバーに、Miles は、JB のレコードを延々と聴かせていたそうです。 同じ頃よく聴いていた初期ヒップ・ホップ、エレクトロ・ファンクの Afrika Bambaataa( Planet Rock の記事参照 )も、JB をリスペクトしていて、84年には共演作が出ています。 さらに、音楽雑誌でも JB の記事は頻繁に目にしていました。ブラスとギターの短いリフで構成されたバック・サウンド、シャウトや掛け声のようなヴォーカル、「マント・ショー」など独特のライブ・パフォーマンス…、実際の音も映像も体験しないまま、知識や情報だけがやたらと多い状態でした。 この頃、初めてテレビで Prince のライブ映像を視たとき( PARADE の記事参照 )、「このパフォーマンスは JB の影響を受けている!」と、勝手に決めつけてしまったくらいです。 知識先行になってしまったのには、理由がありました。 JBには、ファンク・ナンバーの「Cold Sweat」「Out of Sight」「Sex Machine」、バラードの「Please Please Please」「It's a Man's, Man's World」など、有名曲がたくさんあります。ですが、これらはそれぞれ別のアルバムに分散していて、特定のものに集中していません。しかも JB は多作で、アルバムがたくさん出ているのです。 そのため、「1枚のアルバムを聴いただけではとても満足できそうにない。でも、有名曲を網羅しようと思えばお金が足りない…」 そう考えると、購入には踏み切れませんでした。また、当時僕はラジオの番組表を念入りにチェックする方ではなかったので、多分見逃していたのでしょう。FMラジオの「JB特集」などを見つけ、録音する機会も掴めませんでした。 それでも、「いつまでも JB を聴かない訳にはいかない…」と思い、焦燥感、義務感すら感じてい

AUNTIE FLO / RADIO HIGHLIFE ~さりげない多様性

はじめて聴いたときの印象が新鮮、かつ強烈で、最初は毎日何度も聴いていたのに、やがてパッタリと聴かなくなってしまった…。 僕にはそういう作品がいくつもあります。 逆に、最初に聴いたときは印象に残らなかったけれど、その後は長い間聴き続けている。そんな作品もあります。 AUNTIE FLO の「RADIO HIGHLIFE」は、後者の典型です。 毎日ではないけれど、昨年10月に購入して以来、丸1年ずっと聴き続けています。 エレピやパーカッション、短く断片的なメロディーのヴォーカルなど、冒頭の短いイントロから、生の音が印象的です。 多くの曲が、軽快なリズムの心地よい、トロピカルなフュージョンといった雰囲気です。 '80年頃からよく聴いているような音だな、という印象もあります。 トランペットが入るパートなど、50~60年代のアフロ・キューバン・ジャズを連想させます。 一方で、アフリカ的な感じのする短めの曲もあります。 トーキング・ドラムの音にシンセと木琴のようなシークエンス音が重なる「WESTERN PRINCES」。 エフェクトを掛けたコーラスとパーカッションがミステリアスな「INGA'S CHOIR」。 民族楽器的パーカッションの上に、男性ヴォーカルの語りが重なる「ONE GUITAR」。 ウガンダの民族弦楽器をフィーチャーした「KAMPALA」。 ドラム・マシーンの音の上に呪術的なヴォーカルが乗っかる「MAGIC STONES SKIT」です。 ただし、これらの曲もどことなく環境音楽的にソフトに仕上げられています。「トロピカルなフュージョン」に溶け込むように、アクセント的に配されているといったかたちです。 なので、レコード・ショプのサイトなどには、この作品について、 「アフロ・ハウス」 「アフロ・トライバル」 と、いったキャッチコピーも見られますが、実際に聴いてみると、アフロ的な要素は僕はあまり感じません。 ハウスという言葉から連想するような、強烈な低音、激しいビートも見当たりません。 全体を通して、すーっと心地よく耳に入ってくる、軽快な、BGM的とも言える作品です。 それでも、何か引っかかる魅力をもつ音ともいえます。気楽に聴き流せる感じではありません。 昔

KEITH JARRETT / MY SONG ~息苦しさからの解放

学生の頃、居酒屋で飲んでいて終電を乗り過ごし、友人の下宿に転がりこんだ時のことです。 大柄でがっちりした体格のその友人は、ベース・ギターをつま弾きながら、朴訥な口調で唐突に「キース・ジャネット、いいんだよね」とつぶやきました。ベーシストか、と思ったらそうではなく、「ピアニストだよ。ピアノだけでコンサートするんだ」と、手でピアノを弾くふりをするのです。 カセット・テープで、その一部を聴かされました。ポロン、ポロンという感じの静かな音のつながりでした。クラシックか、ロックか、ジャズかも判らず、強い印象は持ちませんでした。 翌日、兄に聞いてみると、「ジャネットじゃなくて、ジャレットだよ。おまえ知らないの?」。どうやら相当に有名な人のようです。 その後、ジャズ系の雑誌でキース・ジャレット=Keith Jarrett の記事をよくみかけるようになりました。ほとんどがソロ・コンサートに関する、絶賛に近いものでした。彼の手のひらの写真とともに、「ピアノの弾きすぎで、親指は変形している」と書かれた記事もありました。 でも、その頃は Miles Davis や Herbie Hancock、Stevie Wonder などに熱中していて、あえて Keith Jarrett を聴く気にはなりませんでした。 何年か経ったある時、Miles のレコードを聴きながら、ふとクレジットに目をやると、Keith Jarrett の名前がありました。Miles の1970年くらいのライブやスタジオ・セッションに、Keith が頻繁に参加していたのです。 Miles のアルバムを Keith の演奏に集中して聴き直しました。 ライブ・アルバムの「Live-Evil」、とくに「What I Say」での凄まじいプレイ。ものすごいスピードで両手で全く同じフレーズを叩き出す、強烈でファンキーなエレピ、オルガン。友人の下宿で聴いたソロ・ピアノとはまったく印象が異なりました。 そこで、Keith Jarrett の「SOLO-CONCERTS」というCD2枚組のアルバムを聴いてみました。 ポロン、ポロンという静かな音だけでなく、メロディアスな部分や、急速で激しい部分もあり変幻自在。絶賛記事が多いのもうなづけます。でも、僕はノレませんでした。 何か密室的で息苦し