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4月, 2022の投稿を表示しています

MONO/POLY / GOLDEN SKIES ~誰もがこれだと感じる宇宙のサウンド

「宇宙的なサウンドスケープ」「宇宙のストーリーのサウンドトラック」―――。 Mono/poly(モノ/ポリー)のアルバム「Golden Skies」に関するレコードショップの紹介文などには、大抵そんな言葉が並んでいます。(Mono/poly は Charles Dickerson=チャールズ・ディッカーソンのアーティスト・ネームです) そこで、宇宙の話が好きな僕も、早速この「Golden Skies」を聴いてみることにしました。2014年の発売直後のことです。 もっとも、こういった流れで音楽を聴くと、事前の情報から浮かんだイメージと実際とが異なっていて、がっかりさせられることもよくあります。 ですが、このアルバムではそうはなりませんでした。SF映画などよりさらに科学的な、たとえば宇宙に関するドキュメンタリー映像にぴったりと合う作品のように思えました。 1曲目「Winds of Change」の冒頭では、ハウリングのような高音がフェード・インしてきます。続いて、太い音色のシークエンス、ストリングス系の音、ボーカルのような音など、さまざまな音が重ねられます。 これらは、アナログシンセサイザーによるものと思われますが、こうしたサウンドがアルバム全体を通した特徴になっています。まさに宇宙をイメージさせる音です。 打ち込みのドラムと多数のパーカッションが細かくリズムを刻みます。バス・ドラムの連打は、初期のヒップ・ホップを思い起こさせます。 ただし、テンポがとてもゆっくりなせいか、スタンダードなヒップ・ホップのような激しさはありません。重量感もなく、逆に浮遊感に包まれるといったかたちで、やはり宇宙空間を行くようなイメージです。 なお、こうしたゆったりなテンポは、リズムパターンこそさまざまですが、このアルバムの各曲で共通しています。 1曲目から7曲目までは、ドラムの入る曲と、短く間奏曲的なドラムの入らない曲が交互に続きます。 たとえば、2曲目「Transit to the Golden Planet」は、アコースティック・ピアノとハープを合わせたような音がメロディーを奏でる、短くドラムのない曲です。 3曲目「Ra Rise」では、太く澄んだ張りつめた高音がメロディーのシークエンスを奏でつつ、背後では女声ボーカルのような音が漂います。音数の少ないドラムがそれを支えています。 4曲目

MODEL 500(Juan Atkins)/ MIND AND BODY 〜至高のドラムで魅せるデトロイト・テクノ

「デトロイト・テクノ」は、文字どおりアメリカのミシガン州デトロイトから発信されるテクノです。 ドラム・マシーンによる16ビート主体の複雑なリズムパターンや、ストリングス系の音などを奏でるシンセサイザーによるミニマルなメロディーが特徴です。 Model 500 は、その代表的なアーティストです。Juan Atkins(ホアン・アトキンス)のアーティスト・ネームです。 「彼がいなければ、デトロイトに何も起こらなかった」~Alton Miller(アルトン・ミラー)。 「デトロイト・テクノとは、Juan Atkins のことである」~Derrick May(デリック・メイ)。 こう発言している2人は、どちらもデトロイト・テクノの大物です。 つまり、他のアーティストからも多大なリスペクトを受ける、デトロイト・テクノの創始者といっても過言ではない人物が、Juan Atkins=Model 500 です。 そんな彼の1999年のアルバム「Mind and Body」は、僕がもっともよく聴くデトロイト・テクノのアルバムです。発売後、すぐにCDを買いました。曲順に中身を紹介していきましょう。 1曲目「Psychosomatic」は、シンセのループで始まります。くぐもったような歪んだ低音と、ノイジーなサウンドによる急かされるようなリズムが展開します。そこに、鞭打つようなドラム、耳に突き刺さるシンセの高音、同じくパーカッション、口笛のような音色のフレーズも重なります。実験的な曲といえるでしょう。ですが、難解ではありません。 2曲目「Everyday」は、スローなリズムの曲です。淡々とした四つ打ちのドラムの上に「Everynight, Everyday ~」と、呪文のような小声の男声ボーカルが重ねられます。断片的なメロディーや、呟くような女声もそこに加わり、全体的にはダークな印象です。 3曲目「Incredible」は、1、2曲目からは雰囲気が一変し、明瞭な女声ボーカルが入るポップなイメージの曲となっています。それでも、いかにも打ち込みといった複雑でメカニカルなドラム、ノイズのように挿入される変調されたボイスなど、テクノの特徴もはっきりと出ている作品です。 4曲目「In and Out」は、2曲目「Everyday」と似ていて、淡々としたドラムに呪文のようなボーカルが重なる曲です。ですが