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9月, 2021の投稿を表示しています

The Chemical Brothers / dig your own hole ~ロック的ではないハードなロック

The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)の2ndアルバム「dig your own hole」を最初に聴いたのは1998年のこと。前年に発売されたCDを1年遅れで購入しました。 全11曲、63分のアルバムです。曲が間を空けず連続する構成。しかもサウンドはハードでヘビー。最後まで一気に聴いた結果、相当疲れました。もう十分、といった感じでした。 それでも、疲労が回復すると、またすぐに聴きたくなりました。麻薬的ともいえそうな高揚感、脳天がシャキッとさせられるような爽快感もあったからのようです。 The Chemical Brothers は、Tom Rowlands(トム・ローランズ)と、Ed Simons(エド・シモンズ)、2人のDJによるユニットです。その名は、僕がテクノを聴き始めた1996年頃、クラブ系音楽雑誌で頻繁に目にしました。当時は「デジタル・ロック」の代表的なアーティストと、いった扱いでした。 ところで、僕は、洋楽を聴き出した最初の頃から、ロックのサウンドが苦手でした。ノイジーなエレキ・ギターや、突き刺さるような裏声でシャウトするボーカルなど、どうも馴染めませんでした。 その傾向が当時もあったため、The Chemical Brothers の音楽も同様のものと疑い、敬遠していました。 とはいえ、本国イギリスで、シングルやアルバムのチャート1位を記録し、雑誌のレビューでも評価の高いユニットということで、そのうち、聴かず嫌いもどうかと思い直し、アルバムを手に取ってみました。 1曲目「block rockin' beats」は、低音のドローン(持続音)に、恐怖におびえたような高音のボイスが重なる不穏なイントロから始まります。そこに、硬質で乾いた音色のアルペジオがフェード・インします。ギターのようにも聴こえますが、実際はベースをギターのように鳴らしているのでしょう。これが、曲の核になっています。 ドラムは「これぞブレイク・ビーツ」といった感じです。サンプリングした音を細かく切り刻んで再構成した(打ち込みかもしれませんが)、複雑なパターンです。ロック的ではありません。ミドル・テンポで強くグルーブし、ベースとともに曲をリードするかたちです。 さらには、シャウトも無しです。ラップのような、短いボーカルのサンプルが繰り返されます。この辺り

TOKiMONSTA / MIDNIGHT MENU ~宅録女子のPOPとウサギに惹かれて

TOKiMONSTA(トキモンスタ、本名 Jennifer Lee / ジェニファー・リー)の1stアルバム「MIDNIGHT MENU」を購入したきっかけは、CDショップのポップでした。 「コリア系アメリカ人で、宅録女子」と、ありました。このプロフィールにまずは興味をひかれました。 次に、ジャケットのデザインです。ひとりの女の子(?)が、両膝の間に皿を抱えています。皿には白いウサギが乗っています。女の子の顔は隠されていて見えません。そこに、数字や小さな〇、△が散りばめられています。何やら暗号めいていて魅力的です。なお、韓国語でウサギのことを「トッキ」(=トキモンスタのトキ)というそうです。 そんなわけで、要はジャケ買い、ポップ買いをしたかたちです。ちなみにこの時はCDを購入しましたが、半年後くらいに、遅れて出たLPも買いました。 ところで、上記ポップの記載によれば、彼女は「LAビート」のアーティストとのこと。さらに、LAビートの中心的人物である Flying Lotus のレーベル Brainfeeder から、次回作をリリースする予定(当時)とのこと。 その頃、僕は、Flying Lotus をはじめ、LAビート(またビート・シーン、LAビート・シーン)をよく聴いていました。アーティストや作品ごとに、ジャズ的であったり、BGM的だったりする、その多彩なサウンドに魅了されていた時期でもありました。なお、この翌年(2011)、TOKiMONSTA は、実際に「Creature Dreams」を上記 Brainfeeder レーベルから出しています。 さっそく「MIDNIGHT MENU」を聴いてみました。 1曲目「GAMBLE」は、シンセサイザーによる抒情的な単音のメロディーで始まります。程よいエフェクトとノイズによって、柔らかでくすんだ、懐かしさすら感じる音色が醸し出されています。 そこに、ゆったりとしたドラムとパーカッションが重なります。ヒップ・ホップ的な力強いビートですが、メロディーと同じような音処理がされているので、激しさや硬さは感じられません。 さらには、リズムとメロディーが一体化した感覚も特徴的です。心なしか、メロディーとビートの同期に微妙なズレも感じられるのですが、それがかえって曲に一体感を与え、生き生きとしつつも自然な印象を生んでいるようです。なお、